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2021年4月

2021年4月19日 (月)

NHK囲碁トーナメントではAIが形勢判断 どうなる解説者!?

日曜日の昼下がり、教育テレビのチャンネルボタンを押し、NHKの囲碁トーナメントを見ていました。

画面の上に細長いバーが表示されていて、左側が黒、右側が白、そして60%、40%と表示されています。「一体これはなんだ?」と思ってしばらく眺めていてようやくわかりました。AIの形勢判断だったのです。

つまり、序盤で50手も進行していないのに、AIは黒がやや優勢と判断しているということです。ひえーっ、おそろしい時代になったものです。

もちろん、AIがどうしてそういう判断をしているのかは人間は理解できません。解説者もAIの考えを理解できるわけないので解説することができません。アシスタントの女性がときどきこの形勢判断に言及しますが、解説者は言葉を濁すだけです。

囲碁はそのまま進行し、黒の勝率が70パーセント近くになってきました。ここで白は思わぬところに石をおきました。いわゆる勝負手です。するとAIの判定はぐっと黒有利になり80パーセントまで上がりました。

思わぬ手を見せられると人間は「えっ!」と驚き、慌ててしまいます。人と人との対局では形勢が不利だと見るや、こういう「紛(まぎ)れ」を求めます。

しかし、AIは冷静です(機械なので感情がないのは当たり前ですが)。勝負手とはいわゆる無理筋。きちんと読み切って対応すれば、勝負手を放った側は負けに近づくのです。いやあ、勉強になるなあ。

結局、最後の10分程度は、黒の勝率90%を超えたまま推移しています。こうなると視聴者の私にとっては、どうして白は投了しないんだろうと呆れてきます。なんだか、つまらなくなってきました。

私は地の数を数えるのはとても苦手なので、プロの勝負は傍目からはなかなかわかりませんが、AIは一瞬で判断できるからこういうことが起こります。これって罪ですね。私みたいな素人の視聴者が関心を失ってしまうのだから。

でもこれは今日たまたまそういう勝負を見たからかもしれません。人間はミスをします。この勝負手で間違った対応をしたら、黒と白の勝率が逆転していたかもしれません。来週の対局で、こういうチャンスが生じるのか注目です。

それにしても今日の解説はつまらなかった。人間ならではの読みを解説しないと、解説者は不要の番組になっちゃいますよ。

おとうとよ忘るるなかれ天翔ける鳥たちおもき内臓もつを(伊藤一彦)