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2021年4月

2021年4月30日 (金)

騎射場の「ペンギン酒店」に寄ってみたら

仕事帰りに騎射場の「ペンギン酒店」に立ち寄りました。

昨年、白地に青い文字で「ペンギン酒店」という暖簾(のれん)を見て、一度は入ってみたいと思っていたお店です。

中に入ってみてびっくり。テーブル席には仕事帰りのサラリーマンや若い女性客が10人ほど入っていました。私はてっきり「角打ち」(角打ちとは、酒屋さんで買ったお酒を店内に設けられた立ち飲みスペースでたのしむこと、もしくは角打ちができる酒屋自体を指します。 また、昔は四角い升(ます)で日本酒を飲んでいたことから、升でお酒を飲むことを角打ちと呼ぶケースもあります。)だと思っていたんですが、居酒屋だったんですね。

一人客の私はカウンター席へ。カウンターの端には中年の女性が1人、前をまっすぐに向いて黙々と飲んでいます。カウンターは4席だったので、間をあけてもう一方の端の席に座りました。

ところが席にメニューがない。壁にはメニューの札も下がっていない。まごまごしていると店主から「お酒は棚のところから選んでください。瓶にかけてある値札が料金になります。料理はそこのテーブルに置いてあります。注文ごとに現金払いです」と説明がありました。

50種類はあるかと思う酒棚から、私は「八千代伝 熟柿」(400円)をロックで注文。つまみは意味不明な「ホタルイカ 八代亜紀風」(400円)にしました。

小さめのグラスに注がれた熟柿を一口飲むと、まろやかな味わいが口に広がります。うまいなあ。数年前に会社のイベントで、森伊蔵、村尾、魔王のいわゆる3Mにこの「熟柿」を加えて招待客に振る舞ったところ、3Mを差し置いて最も評価が高かったのがこの「熟柿」です。

そんなことを思い出しながら飲んでいると、突然、八代亜紀の「舟歌」が店内に流れ始めました。「ここは昭和レトロが売りなの?」と周囲を見回していると、若い女性の店員が小皿にホタルイカを載せて持ってきました。「この料理を注文するとこの曲をかけるんですよ」と明るい声で紹介しながら、持っていたガスバーナーでホタルイカを炙りはじめました。

「本当に笑わせるよ」と思いながらも適当に話を合わせ、ホタルイカを指先で口に放り込んでは焼酎をちびちびと口に含み、味わいました。

そんなとき、常連らしき男性客が、私と女性客の間に入り込んできました。しかも彼女のすぐ隣の席に着席。女性客はすぐにお手洗いに立ったかと思うと、そのまま店を出ていきました。私も、私の方を見ようともしない男性客が目障(めざわ)りで嫌になり、グラスを飲み干すとすぐに見せを出ました。

類は友を呼ぶといいますが、この店はこういう客を呼ぶようです。私には場違いでした。

ペンギンの柵その前に制服のお尻を並べている中学生(俵万智)