お客のいない店にはそれなりの理由がある
夜にくつろいでテレビをつけていると「坂上指原つぶれない店」(MBC:TBS系)の赤字飲食店を有名社長が建て直すというコーナーがありました。有名社長は富士そばの丹社長。素性は隠してまずこの店を偵察,それから店長にアドバイス。
そもそもこのお店。乗降客が1日4万5千人もいる都心の駅から歩いて1分以内。メニューもフレンチトーストはあるわ,ジントニックはあるわ,麻婆豆腐はあるわと何でもござれ。店長も真面目そう。だけどお客は一日に3,4人しかいない。なぜ?
最初に指摘したのは「看板(店名)」。ボクシング選手との共同経営ということで,この店の看板はこのボクシング選手を前面に押し出したもの。だから,通行客は看板を見ても飲食店とは思わない。一見したらスポーツジムみたい。
そしてもっとも大事なことと指摘されたことがボクシング色の一掃。この店の共同経営者はなんとボクシングの世界チャンピオン。チャンピオンベルトをはじめ,ボクシング関連グッズが店内に飾られています。丹社長がいうには仕事帰りのサラリーマンは癒やしを求めている。そこにボクシングのチャンピオンベルトなど権威的なものがあるとお客のサラリーマンはくつろげないとか。
皮肉なことに,この店の経営者はボクシングの魅力がお客さんを引き寄せると考えていたけれど,この店の前を通るお客さんは仕事帰りのサラリーマン。疲れたおじさん達にはボクシングなんて無縁のもの。それどころか逆に彼らを疲れさせる存在になっていたんですね。なるほど,勉強になります。
話は全然違いますが,今日のお昼はアミュの5階の飲食店街にしました。牛タンの「利休」です。ここはいつ見てもお客さんがいない。今日は私一人だし,時間も空いていたので入ってみました。お昼時なのに本当にガラガラ。メニューも牛タン中心で,値段も安くて1400円。ちょっと高すぎる。
味はまあまあでしたが,よほどの牛タン好きでないとこの店で食べようなんて思わないでしょう。鹿児島では牛タンが好きな人が多いとは思えません。誰をターゲットに考えているのか疑問。しかもこの値段設定。全国チェーンなのでしょうが,アミュの飲食店街の割高な価格設定のなかでもさらに高い。しかも定食が品数が少なくてしょぼい。これじゃあ閑古鳥(かんこどり)が鳴いて当然かも。
昨日は「はらら温泉」に浸かりました。午後2時頃に行ったのですがここもお客はまったくいない(おそらく女湯もガラガラ)。ぬるめのお湯でゆっくりくつろげましたが,洗い場の床タイルはあちこち緑色になっています。指先でこすると簡単に剥がれました。青のりがくっついていたんですね。毎日ブラシで掃除をしないのでしょう。銭湯を利用するのは近所の人。西田は再開発で新しい家がじゃんじゃん建っていますけど,そんな家に住む人たちはこんな温泉では行こうとは思わないでしょうね。こちらも閑古鳥が鳴いて当然かも。
経営努力って大事ですね。でも,お客のいないお店の経営者は,どのように努力していいのか分からないのかも。そこに気付くことができるのかどうかが「才能」なんでしょうね。
目を閉じてジョッキに顔を埋める君吾を見ず君何の渇きぞ(俵万智)
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