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2019年10月 9日 (水)

また始まったノーベル賞騒ぎ 報道価値は「日本人であること」

今夜のニュースでは,吉野彰氏がノーベル化学賞を受賞したことが大きく取り上げられていました。

私のブログでも吉野彰氏をとりあげたことがあります(2018年10月18日)。このときは吉野氏の小論「リチウム電池から未来が見える」についての所感雑感でした。

偉大な研究者だなと思っていましたが,まさかノーベル賞を受賞するとは思ってもみませんでした。ニュースでは吉野氏のほかに2人も受賞しているそうですが,外国人だからか報道されませんでした。ちなみに昨日はノーベル医学賞・生理学賞の発表がありましたが,日本人がいなかったために全く報道されません。ノーベル賞を受賞するほど人類に貢献していても,日本人でなければニュースの価値がないんですね。

最近は日本民族賞賛番組が跋扈(ばっこ)しています。ラグビーワールドカップの報道もプレーの素晴らしさを伝えるものよりも,日本流のおもてなしに外国人選手が感動したとか,日本人の観客を海外メディアが賞賛しているとか,ちょっとした話題ならともかく,こちらの方がラグビーのプレーより大きく取り上げられていることに驚きます。

私も日本人ですから日本のことが褒められるのはうれしい。ですが,日本開催なのにラグビーワールドカップの試合がすべてテレビ中継されているわけではないという事実をつきつけられると,日本人のほとんどはラグビーという競技に関心がないことがみえみえです。

ブラックな言い方をすれば,ラグビーのことに関心がなくとも,ラグビー選手や外国人観客をもてなすことができる日本人がたくさんいるという事実が賞賛すべきことなのかも知れません。

さて,ノーベル賞の話に戻ります。ノーベル賞で特に話題になるのが平和賞と文学賞。とくに文学賞は村上春樹が候補になっているという本当かどうか首をかしげる報道が何年も続いています。こういう報道する人に聞いてみたい。では文学賞の候補者は村上春樹以外に誰がいるのかと。村上春樹以上に候補者となって落選し続ける人が何人いるのかと。

報道をする上で,正確な事実に基づくことは前提条件ですよね。単に日本人を心地よくさせるために,不正確なニュースを流すのは私は不愉快です。かつて北朝鮮の金正日が死去したとき,北朝鮮は間もなく崩壊するとの報道が雨後の竹の子のようにでていました。あれから20年以上経ちますが,北朝鮮は崩壊するどころか原子爆弾や大陸間弾道ミサイルを開発し,経済が崩壊するはずの北朝鮮から大量の難民が日本に押し寄せることもありません。あのときの報道も日本人の気持ちをよくさせる偽情報(トランプに言わせるとフェイクニュース)だったのでしょう。

ここまでくると報道と言うよりエンターテイメントです。村上春樹報道も,さきにあげたように他の候補者に関する情報がまったくないならば,私はフェイクニュース(あるいは日本人向けのエンターテイメントニュース)と考えて間違いないと思います。

にっぽんの処女(おとめ)はいかにおろかにて美(うるわ)しきかなマノン・レスコオ(坪野哲久)

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