「ブレードランナー」と「機動警察パトレイバー」と「アムネジア」
先日,録画しておいた映画「ブレードランナー2049」を見ました。
この作品は,数年前に公開された映画です。私は映画館で見ようと考えていたのですが,鹿児島のアミュプラザに週末見に行ったときには,すでに別の映画に切り替わっていました。
当時は全然噂にもならなかったので,たいしたことはなかったのだと思いつつも,あの名作SF映画「ブレードランナー」の続編ということで,BSを録画しておいたのです。
「ブレードランナー」はSFファンなら誰もが必ず見たことのある映画です。そしてこの映画を見たことのない人も,「ブレードランナー」の世界観に影響を受けた映画,ドラマを必ず見ているはずです。一度も見ていない人はこの映画をみると既視感(デジャブ)を覚えるはずです。
機動警察パトレイバーというアニメがあります。押井守監督の映画が最も有名ですが,少年サンデーに連載された「ゆうきまさみ」のコミックもストーリー展開や会話のやりとりが秀逸。また,オリジナルビデオシリーズやテレビシリーズもいい味をしています。
このシリーズに「その名はアムネジア」という回があります。冒頭,パトレイバーの主要キャラクターの一人である大田巡査が同僚を殺していく夢をみるシーンがあります。この世界こそまさに「ブレードランナー」。ちなみに菊池秀行の小説に「風の名はアムネジア」がありますが,タイトルはこちらから剽窃(ひょうせつ)したのは間違いないでしょう。そういう意味ではパロディづくしですよね。
アムネジアとは英語で記憶喪失のこと。大田巡査が記憶を失い,自分を殺人犯と信じて苦悩しながら町をさまよい歩くストーリーなのですが,最後のどんでん返しを知らない視聴者は心配しながら見守るような展開です。押井守の真骨頂発揮というところでしょうか。
ところで,「風の名はアムネジア」は全世界の人々が同時に記憶喪失になったという設定です。記憶を失った人々は文明の機器を使用することができず,言語も失ったためにコミュニケーションをとることもできず,世界は大混乱。そんな世界で,ひとりの少年がアメリカを旅し,ニューオーリンズの町でガラクタをもって音楽を演奏する人々を見つめ,未来が少しづつ明るくなっていることを感じさせるシーンで終わります。私が中学生のときに読んだ小説ですが,「アムネジア」という語感が新鮮で,今でも記憶に残っています。
そして「ブレードランナー2049」。主人公の男性はレプリカント(人造人間)のため,子どもの頃の記憶がありません。そして彼のもっている記憶の正体を追求することがこの映画のキーとなります。さきにあげたような,私がこれまで体験したアニメ,小説の世界が入り交じっているようで,静かな驚きを覚えました。映画のラストを見終えたとき,しばらくは席から立てない不思議な迫力がありました。
ひっそりと世の片隅に生きるぼく。なぜかクローンともう知れていて(松宮静雄)
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