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2019年9月

2019年9月27日 (金)

わたせせいぞうのカレンダー2020が届く 娘の感想は「もうやめて」

数年前,北九州市の門司港をたずねたときのこと。家族全員で税関跡や門司駅のレトロな町並みを散策しました。

このとき,たまたまある洋館のひとつで「わたせせいぞう展」が開催されていました。わたせせいぞうといえば,私が大学生の頃,「ハートカクテル」が週刊モーニングに掲載されていて,そのおしゃれな恋愛を描くドラマが若者達を魅了していました。

当時の私はさほど熱心な読者ではありませんでした。絵は素晴らしいのですがストーリーやセリフはセンスがない。でも,あのバブリーな時代のことをなつかしく思い,観光はそっちのけで作品展をのぞいてみました。

中に入ると,作品のひとつひとつが「ハートカクテル」の世界そのまま。あれから30年。今でも変わることなく,男女のおしゃれな恋愛をモチーフにし続けていることに,かすかながら感動しました。そしてあのバブリーな時代,デオドランド志向な雰囲気を思い出しました。

クリスマスの夜は,高級なシティホテルを予約するカップルでいっぱい。贈り物はティファニーの首飾り。「朝シャン」が当時の清潔志向を加速し,村上春樹のポップな小説が若者達の心をつかむ。F1ブームでアイルトン・セナに熱狂し,スキー場やビーチは素敵な恋愛を求める若者が押し寄せる。

北九州市の展示会で,私はわたせせいぞうの版画を1枚購入しました。衝動買いですね。3万円ぐらいだったでしょうか。それ以来,毎年,わたせせいぞうのカレンダーやポストカードを購入しています。カレンダーは役目を終えた後も大事に保存して,季節にあわせてその絵を額縁に入れて飾っています。この額縁は50センチ四方あるので,結構インパクトがあります。ポストカードは全部大事にとっておいています。が,1枚だけは,私の好きなひとにメッセージカードとして渡しました。

大学生の頃は気付きませんでしたが,わたせせいぞうの絵は私を明るい気持ち,ウキウキした気持ちにしてくれます。今日は2020年版の壁掛けカレンダーと卓上カレンダー,そしてポストカード20種類が届きました。包装紙を破っていると,近くで見ていた高校3年の娘が苦い顔をして「もうやめて。キモい」と吐き捨てるようにつぶやきました。ああ,若いのは心だけ。外見は立派なおじさんなんだなあ。

会うまでの時間たっぷり浴びたくて各駅停車で新宿に行く(俵万智)