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2019年9月

2019年9月29日 (日)

「トミオー,やりすぎー」「サチコー」 鹿児島の恥さらし

昨夜は鹿児島ユナイテッド対京都サンガの試合が白波スタジアムでありました。

ラグビーワールドカップの日本対アイルランドの試合終了が午後6時15分ぐらい。日本の勝利を家で見届け,その余韻に浸る間もなくスタジアムへ。スタジアムに到着したときにはすでにユナイテッドのスターティングメンバーの発表は終了していましたが,ぎりぎり午後7時のキックオフに間に合いました。

バックスタンドは満員。メインスタンドもユナイテッドサイドは空席がほとんどない。ビジター側を探したところ,一列7席程度がずらっと空席になっているところがあったので,急いでそのうちの1席に座りました。

ユナイテッドのゴールキーパーはアンジュンスに代わって山岡が初出場。センターバックには赤尾が復帰。ボランチは平川と中原秀人,平川の動きが悪いとみるや前半のうちに八反田に交代。金監督がチームの背骨である,キーパー,センターバック,ダブルボランチのラインをごっそり入れ替えたことに,何かを変えなければ勝利はないという,強い意識を感じました。

いつものユナイテッドは,アンジュンスとバックスで無駄なパス回しが見られますが,今日のゴールキーパー山岡はひたすらロングパスを前線へ蹴り込みました。FWのルカオにボールを当て,彼からのポストプレーを狙っていることがはっきり理解でき,「今日は違うぞ」と期待しながら応援しました。

後ろの席から中学生らしい男子の声が飛びます。「トミオー,やりすぎー」「サチコー,クロスをあげろー」 どうやらトミオとはルカオのことらしく(サチコは不明),声をあげる度にまわりの男子達がゲラゲラ笑い,突っ込みをいれています。「オナニーのやりすぎでインポになったようです」「ここでトライをあげれば5点」など,試合とは無関係のことを叫んでは仲間内の笑いをとっています。

ハーフタイムのとき,席を立ったついでに見てみると,私の後ろには緑色のシャツを着た中学生男子が20人ほどかたまっていました。どうやらどこぞの中学校のサッカー部が全員で観戦していたようでした。ここはホームとはいえ,京都から応援にかけつけたサポーターも私の周りに結構いました。鹿児島の恥さらしもいいところです。そして,どうしてここだけが空席だったのか理解できました。おそらく私が来る前には,だれかが着席していたのでしょうが,後ろのバカたちに気分を害して移動したのでしょう。

応援の形はいろいろあります。黙って見ている人。サポーターの応援歌にあわせて手拍子をする人,ボールの行方に一喜一憂したり,歓声をあげたり,ため息をもらしたり,一緒に来た友人らと感情や感想を口にしたり。形は違えどみんな試合に注目しています。

しかし,この日の中学生にとっては,目の前で繰り広げられる懸命なプレーから何かを感じ取るよりも,周りにいる仲間から笑いをとることが大事なのでしょう。もちろん,これは応援でも観戦でもありません。彼らも学校では試合をすることがあるでしょう。普段からこんなふうに観客に笑いものにされているからこういう態度をとるんでしょうね。ある意味,あわれな子ども達です。

試合開始前,ユナイテッドの中原選手らが,誹謗中傷をしない,選手,サポーター,お互いを尊重するという趣旨のリスペクト宣言を読み上げていました。皮肉です。

試合は0-1で負け,中学生の態度に不快な思いはしましたが,ストレスは低かった。金監督の変革する意識が試合で見られたことと,京都の個々の選手の技術がすばらしく,パス回しが華麗で,敵ながらあっぱれと素直に感動したからでしょう。

もうひとつ気になったのは勝利の女神。島美人のお姉さん,職場のユナイテッドファンの女性です。最近彼女たちの姿を見ません。ユナイテッドの連敗時期と重なっているだけにとっても残念です。次のホームは10月20日。どうか次こそ彼女たちの笑顔とユナイテッドの勝利に出会えますように。

いるはずのない君の香にふりむいておりぬふるさと夏の縁日(俵万智)