北方領土を戦争で取り戻すと言う前に あなたは何をしましたか?
ある国会議員が北方領土のビザなし渡航のとき、訪問団長に「北方領土を戦争で取り戻す気はないのか」と絡(から)んだことについて、新聞やテレビは、その国会議員は党から除名されたと報じています。
威勢がいいですね。現地で何を見たんでしょうか。ロシアの軍隊がそこにいないから楽勝だと思ったんでしょうか。
「孫子」では「兵とは国の大事なり。死生の地、存亡の道、察せざるべからざるなり」(戦争とは国家の一大事である。人の死生を決める分岐点であり、国家の存亡を左右する道であるから、これを深く洞察しなければならない)とあります。
この国会議員は日本を滅ぼすつもりは毛頭ないでしょうが、そもそも戦争というのは日本の存亡がかかったときに初めて決断するものであって、軽々しくするものではありません。
北方領土は日本に返還されるべきだと日本人の多くは考えています。しかし、北方領土が日本国の存亡にかかわると考えている国民がどれだけいるでしょうか。武力で北方領土を制圧すれば日本が国際的に孤立するのは目に見えています。孤立すれば貿易立国である日本の国力は大きなダメージを受けるでしょう。北方領土はそのダメージを回復してくれますか? 無理だと思います。
ナショナリズムは否定しがたいものです。私もそのことは理解している方だと思います。しかし、それを正当化して戦争をもちだすのはただの馬鹿。相手がいることを忘れています。ひとりよがりもいいとこ。内弁慶(うちべんけい)も甚だしい。
確かに遅々として進まない領土交渉はストレスがたまるでしょう。しかし、国会議員は問題解決に全力を注ぐべきであって、ストレス発散で暴言を吐き回るのは、その資格がないといっても過言ではありません。そもそもこの人、ロシアと交渉したことがあるんでしょうか。交渉している人々を批判するだけなら朝日新聞の三流記者にも劣りますよ。
同じく孫子に、「上兵は謀を伐ち、その次は交を伐ち、その次は兵を伐ち、その下は城を攻む」(敵の謀略を未然に打ち砕くことが最善、敵の外交関係を分断することが次善、野戦で勝つことが次々善、立て籠もる敵を攻めるのは最悪)とあります。
安部ちゃんは北朝鮮の孤立化、ロシアとの領土交渉を進展させるために、全世界外交を続けています。謀略関係は表面には見えませんがおそらく手を打っていることでしょう。こんな首相は戦後の日本に存在しませんでした。
しかし、朝日新聞は安倍ちゃんの全世界外交をまったく報道しません。朝日新聞にとっては、政権を批判することは国益を保全するよりも大事なんでしょうね。だから安倍総理の外交を見ない(報道しない)のでしょう。あまりの近視眼に笑ってしまいます。グローバル的視点からの論評記事を多く掲載する朝日新聞は、実はそんな思考はなく、ただ海外からのパクリ記事を掲載してそのように見せかけているだけのようです。
戦場を覆う大きな手はなくて君は小さな手で目を覆う(木下龍也)
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