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2019年5月

2019年5月29日 (水)

包丁の使い方に見る料理の技量 豊川悦司は料理しないのがバレバレ

BS放送をみているとテレビショッピングで包丁研ぎを紹介していました。「ぜんぜん切れない包丁が、この商品を使うと切れ味がこんなに鋭くなりますよ」 でも、切れない包丁を使うときは真下に押しつぶす動き、切れる包丁は前後に動かしているのに。切り方が違う!!!!

このあからさまないかさまCMを見て「私と犬の10の約束」という田中麗奈(なっちゃん)主演の映画を思い出しました。

なっちゃんの父親役が豊川悦司(トヨエツ)。なっちゃんが子どもの時に母親が病死。勤務医だったトヨエツは勤め先を辞めます。妻の死をきっかけに家事に料理にがんばるストーリー。そのトヨエツが料理を作るようになって数年後、タマネギを切るシーンがあります。これがひどい。

トヨエツは手首を支点に包丁を動かしていて、刃先が円を描いています。これではタマネギが切れるはずがない。

包丁で野菜を切るときは、肩を支点にして肘を前後に動かし、手首は固定します。あるいは刃先をまな板につけてそこを支点にして、肘を前後に動かして野菜を切ります。そう、刃は前後に動かしたらよく切れますが、そのまま下に下ろすだけでは野菜を押しつぶしてしまいます。

トヨエツは仕事人間から家族ファーストの生活を送るようになり、料理も上達したということを映画で見せたかったのでしょうが、料理経験のある人が見れば逆効果です。おそらくトヨエツ、そして監督も、プライベートでは料理をしない仕事人間なんでしょうね。

一方、「クレイマー・クレイマー」のダスティン・ホフマンは違います。妻が家を出て行ったとき、フレンチトーストを作るのに四苦八苦。ところが1年後、妻が子どもを引き取りに戻ってくる日の朝は、フレンチトーストを手際よく焼き上げます。みていて惚れ惚れします。

日本のCMやエンターテイメントの関係者には、家事をおろそかにする人が多いのかしら。

アンティックドールのように装ってまだ隠せないにごりえがある(俵万智)