私に好意を告げるなら、好意に気づいたときにして!
今夜は送別会でした。たまたま向かい合わせの席に女性の社員が集まりました。私と歳はプラスマイナス5歳ぐらいの同世代の女性たちです。
送る側、送られる側の挨拶が一通り終わり、場がくだけてきたとき、前の女性の2人から突然切り出されました。「とてもおしゃれですよね」「トイレから出たときに後ろ姿を見たことがあったんですがとても足が長いなって思いました」「初めて見かけたとき素敵だなと思って、後をついて行ったら同じ職場でびっくりした」と思わぬ褒め言葉。
私は「お世辞でもすごいうれしい」と素直に喜んだ後、「こういうのはもっと早く言ってよ。普段、帽子をかぶっているせいか不審者扱いされているんだから」と尋ねてみました。
返ってきた答えは「こういうことって普通言えませんよ。最後だから言えるんです」
彼女たちの言葉を素直に受け取れば、異性に対してかっこいいなんて恥ずかしくて言えない。穿(うが)った見方をすれば、もう一緒に仕事をすることもないと思えば後ろめたさを感じることなく嘘が言える。うーん、どちらでしょうか?
私を持ち上げた2人のうち、笑顔が素敵な彼女の言葉を信じることにして、「私への褒め言葉は私ではなく、女友達に言いふらしてよ」と軽くお願いしておきました。
それから1時間後、送別会を切り上げてバス停に行くと、次のバスが来るまで20分ぐらい時間がありました。時間調整でバス停近くの「MINGO×MINGO」(ミンゴミンゴ)に寄りました。ここは1分20円で飲み放題のお店です。
中には男性客が1人だけ。中に入った私を見つけた「さきにゃん」が注文をとりに来て、しばらくお話ししました。「さきにゃん」はここのアイドルグループの最古参(さいこさん)メンバー。そう、ここは地元アイドルに会えるお店なんです。以前から彼女に「日曜日のライブに来てください」と誘われているのですが、その度に都合が悪く、いつも彼女の願いをおざなりにしていました。
「今度お客さんが来たらお客さんを見て手をせいいっぱい振りますからね。手を振って返してくださいよ。視線をそらしたりしないでくださいよ」と、今回はお誘いトークをさらにバージョンアップさせてきました。
「これまでドアの前まで2回来たけど、いつも入りづらくてそこで帰っちゃったんだよね。ライブで私みたいな新参者(しんざんもの)に手を振ったら周りのファンのやっかみを買うじゃない。ここのファンのほととんどは「さきにゃん」のファンなんだから」と返すと「お客さんは新参者じゃありませんよ。ライブには来ないけど、もう長くこの店に来てくれてるでしょう。気にする必要ないですって」
若いっていいなあ。自分の気持ちをこんなに素直に言えるなんて。色ぼけした中年おじさんには効果抜群、単刀直入、一撃必殺です。今度の日曜日は本当にライブに行っちゃおうかな。
こんなにもなめらかに愛を告げられて心ほどよく冷めてゆく午後(俵万智)
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