恐竜絶滅とウサギ小屋 真実は何か?
恐竜が絶滅したのは地球に小惑星が衝突し、そのときに発生した大量の煤(すす)や硫酸などが空気中に充満して日光を遮り、地球が急速に寒冷化したからという説が、近年の研究ではほぼ定説になっています。私は、遠い未来にまた小惑星が地球に衝突したら、同じように地球上で大量絶滅が発生するとばかり思っていました。
ところが、先日読んだ小論「恐竜絶滅の経緯」(海保邦夫)を読んでびっくり。著者は、6千6百年前に小惑星が地球に衝突し、恐竜などが大量絶滅したメカニズムを有機分子分析や気候モデル計算などを駆使して新たな知見を得、世界に発表した研究者です。
簡単に説明すると、①恐竜が絶滅してワニが生き残るような環境になるには、陸上で16度以上気温が低下しなければならない、②気温低下が発生するほどの煤の放出で大量絶滅が起きる場所は堆積岩の中に大量の有機物がある地域だけである、というもの。
つまり、堆積岩の薄いところに衝突すると、大量絶滅は起きないどころか、気温は1度も下がらない。それを起こせる衝突場所は地下の有機物が多い過去の海岸付近だけであり、地球上の10~15%しか存在しない、というもの。なんだか勇気づけられませんか?
もうひとつおもしろいと思った論文がありました。「戦後、日本の住宅は「ウサギ小屋」と欧米諸国から揶揄(やゆ)されるほど小さな家が多かった」という説を聞いたことありませんか? 私もそう思っていました。なるほどアメリカの住宅は庭も広く(プール付きもあるし)、大きな家ですよね。しかし、この「ウサギ小屋」。EUの機関のレポートが出典なのですが、元々「Rabit House」とはフランスの公営住宅の別名だったんだそうです。「えっ!」でしょ。たしかに日本に住宅は大邸宅ではないけれど、フランスの庶民並みだったわけです。現在の日本の住宅面積は世界5位というデータまでありました。すごい勘違いですね(残念ながらこの論文を捨ててしまって筆者がわかりません。ごめんなさい。)。
研究が進み、過去の思い違いも明らかにされています。久しぶりに知的好奇心をくすぐられました。
噴水の内側の水怠けをり(大牧広)
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