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2018年11月

2018年11月30日 (金)

どんなシチュエーションでも笑顔が一番

仕事帰りに通夜に行きました。職場の上司などから香典を預かってきたので受付の女性にそのことを説明したのですが、なかなか要領を得ない。そこで先に祭壇に進んでお線香をあげ、遺影に手を合わせてから再び受付に戻りました。

受付の女性は黒い喪服姿、年齢は30ぐらいですが小柄でとてもかわいらしい。そんな華奢(きゃしゃ)な彼女から香典返しを8人分いただいたのですが、これが非常にかさばる。大きな紙袋を片手に4つずつ握ると姿勢が不自然なので腕がぱんぱん。思わず「これじゃあバーゲンセールに来たみたいだな」とこぼすと、この受付嬢が白い歯を見せて笑い出しました。

周囲の弔問客からすると不謹慎な奴だと怒られるかもしれません。でもこの日亡くなったのは80過ぎで、病院暮らしの長かった年寄り。故人と面識のない私は最初から淡々としたもの。帰り際にかわいらしい彼女の笑顔を見て、不思議と明るい気持ちで斎場を出ました。

その後いつものバーに寄り、いつものようにグラスワインとお通しのサラダを注文しました。バイトの女性が「今日はボージョレを準備してます。いかがですか」と珍しく、本当に珍しく勧めたのでそれを頼みました。

「仕入れはいつものグラスワインの3.5倍するんですが、同じ価格で提供してますからすごくお得ですよ」 ボージョレも珍しいけど、いつも無愛想なバイトの女性がセールストークをするなんてすごく珍しい。

しかも今日は金髪に染めた髪を鳥の巣風にアレンジ。前回来たときはボーイッシュで黒いアイシャドーだったのに。毎回こんなに化粧や髪型が変わるなんて。彼女に言わせると「私は化粧品や髪型とかに興味はないんですけど、友達がメイクするのが好きだから任せてるんで」とのこと。

私がお酒やスポーツ観戦が好きなのでその話をすると、「お酒は飲めませんよ。スポーツは見るよりやる方。でも引きこもりが一番。カーテン締めてゲームやパソコンをしてますから」とにべもない返事。

「私も彼女の友達になって、関心のないことでも任せてもらえるようになりたいなあ」ぼやきつつもなんだかご機嫌な夜でした。そんな上機嫌の私の顔を見て、無愛想なバイトの彼女も珍しく饒舌(じょうぜつ)だったのかも。

死というは日用品の中にありコンビニで買う香典袋(俵万智)