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2018年10月27日 (土)

自己責任批判と日比谷焼打事件

今朝の朝日新聞に「安田さん『自己責任論』なぜ」との見出しで、先日ISから解放された安田純平さんに対する批判がネット上にあふれているという記事が掲載されていました。その批判とは「国に迷惑をかけなるな」「日本政府の言うことを守らないなら外国へ行くな」「国民に謝れ」「身代金、俺たちの税金」などなど。

私の周囲にこんな意見を言う人を見たことがないので、記事を読むまで知りませんでした。ネット社会って便利ですね。朝日新聞もネットを見るだけで世論の動向がわかるようです。

20年ほど前にもイラクで同様の事件がありました。このとき小泉総理は「自己責任だよなあ」と漏らし、やはり同じようなバッシングがありました。既視感ありあり。

私はこのようなバッシングには与(くみ)しません。そもそも私だけでなく大多数の人々の暮らしと安田純平さんは全く関係がないのに、なぜ彼を批判するのかがわかりません。

「国に迷惑をかけるな」「外国へ行くな」ってどういう意味なんでしょう。「俺たちは忙しいから新たな業務を増やすな」と日頃考えているお気楽公務員の発言でしょうか? 逆に私は日本政府に言いなりのマスコミに比べ、批判されてもなお現地に赴く彼のジャーナリズム魂はすばらしいと思います。「国民に謝れ」の国民って誰ですか? 私は日本国民ですが、彼に謝られても困ります。「身代金、俺たちの税金」? バッシングのためのフェイクニュースですか?

人の批判って楽しいですよね。自分が正義だと信じるとより一層幸福感が得られます。

先日読んだ論文に「日比谷焼打事件」のことが出ていました。日露戦争はポーツマス条約によって終結しましたが、このとき、賠償金がないことに立腹した民衆は暴動を起こします。この暴動を起こしたのは誰なんでしょう。もちろん条約締結を急ぐ日本政府の関係者ではありません。女子供でもありません。成人男性です。では暴動を起こした彼らはなぜ「日比谷公園」にいるのでしょう。事件のとき、満州の四平付近で日露双方の大軍は対峙しつづけ、負傷帰国した兵は療養しているはずなのに。そう、暴動を起こした男たちは兵役(徴兵)をいろんな手段をつかって逃れていた男たち。そういう視点もあるんですね。

「自己責任」。3年もISに監禁されたのは安田さんの責任です。しかし、身柄の解放や帰国にかかる国の関与まで彼の責任というのは度を過ぎていませんか?

  身にしみて人にはつげぬ恩一つ (富安風生) 

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