タヌキに続いてキジバトも我が家にやってくるのは喜ばしいこと?
今朝着替えているときに窓の外を見ると,2メートルほど先のフェンスの上にキジバト(羽に茶色の鱗模様があるハト)が止まっています。トキワマンサクのつぼみ(?)を食べているようです。この家の庭には多くの木が植えてあり,季節はちょうど花盛り。鳥たちが寄ってくるのも当然です。この間のタヌキといい,本当によく動物たちがやってきます。
しばらく眺めていると,妻が私の隣をすり抜けて窓を開け,キジバトに石を投げつけました。慌てたキジバトは羽を周りの枝にぶつけながら,葉っぱで埋もれた空間を必死に這い出すようにして飛んで逃げていきました。
「きっと巣を作ろうとしてるんだわ。巣ができると大変よ」と妻は私に告げると,意気揚々と引き上げていきました。
私が高校生の頃だったでしょうか。当時私は高校の寮生活。久しぶりに実家に帰ったときに,父がドバト(灰色と青黒のハト)のことを話してくれました。実家の近くにはお寺があり,ドバトがたくさん群れています。そのドバトが実家にもやってきてはフンを落とすので,いつも嫌な思いをしていました。
「この間,ドバトを退治しようと鳥かごをつくったんだよ。金網ネットで中にハトが入ったら外に出られないような仕組みでね。ところがまったくハトが罠にかからない。そこでハトを一匹手づかみで捕まえて罠の中に入れておいたんだ。そしたら,次の日には数十羽のハトが入っていてね。殺すのも抵抗があったから,遠く入来峠までにもって行って放そうとしたんだよ」
ドバトは群れる性質ですが,この話を聞いて驚いたものです。罠にかかった仲間を助けるつもりだったのか。それとも単純にバカなのか。シートン動物記の「おおかみ王ロボ」に出てくるブランカを思い出しました。
「入来峠にもっていくときにビニール袋に入れておいたんだよ。そしていざ現地に到着して放鳥しようとしたら,どのハトもぐったりとしていてね。窒息してたんだろうね。おそろしくて山に捨てて慌てて帰ってきたよ」
ハトを入来峠に放しても,伝書鳩で知られているように,ハトには帰巣(きそう)本能があるのでおそらく「元の木阿弥」になったことでしょう。望まない方法だったとはいえ,ハト退治としては効果があったのかも。それから30年後,ハトの姿はほとんど見かけなくなりました。お寺はいまでもちゃんと続いているのに。
動物たちの異常発生や激減は原因不明のことが多いようです。新型コロナウイルスの影響で繁華街から人の姿がなくなったことで,ネズミが堂々と徘徊したり,ピューマやトドが現れたりと世界のあちこちの都市で,動物たちが大手を振って歩いているとの報道がありましたが,こういうのは異常発生とは言わないようです。
さて,我が家の話。キジバト以外にもスズメ,シジュウカラ,メジロなどがよくやってきます。小鳥たちの鳴き声もかわいらしくて,私はその声を聞く度に「我が家って本当にいいなあ」と悦に浸ります。
残念なことに,妻はこれらの鳴き声が聞こえると「うるさいっ!」と大声をあげて追い払うので,鳴き声を楽しむのは私が一人でいるときだけです。
鳥の巣に鳥が入ってゆくところ (波多野爽波)
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