囲碁棋士の実力だけでなく、囲碁の解説書でも韓国が日本に勝る
「ひらめきの囲碁学」(金萬樹)を読みました。
私は鹿児島市立図書館に1~2週間に1回は立ち寄り、毎回3~5冊程度借りています。ジャンルは様々でそのときの気分や直感で決めることがほとんど。でも、囲碁に関しては面白いシリーズがあって、その本をよく借ります。
それは碁楽選書シリーズ(東京創元社)。著者はすべて韓国人。世界最強の棋士イ・セドル、イ・チャンホなどの世界的に有名な棋士達の棋譜などを紹介しているだけでなく、初心者向けの平易な解説がとても理解しやすい。
今回借りた「ひらめきの囲碁学」もそのシリーズのひとつ。初心者の棋譜を参照しつつ、誤りを指摘し、ではどこに着手すればよかったのか、その理由は何かを丁寧に解説しています。なにより、そのポイントが一話完結、一問一答形式でどこが問題なのかが非常にわかりやすい。
石の動きの3原則では「切られないように」「自分の石が置かれた方向を選ぶ」「広い方へ進出する」。応用編として「弱い石が二つあるとき場合は石数の多い方を守る」「攻撃に利用した石は、逆に攻撃対象となる可能性がある」
手を抜くタイミングは「中央へトバれたとき」「二線に打たれたとき」
攻撃のこつは「根拠(生きるスペース)を奪う」「ノゾキで弾力を奪う」「中央へ進出した相手の石を上から圧迫する」
なかでも上手と下手との比較が秀逸。「相手の最後の手を追いかけるのは下手」「狭いところがよく見える人は下手」「上手は弱い石を守り、下手は陣地を守ろうとする」「上手は弱い石がある場合には、相手の模様に入らない」「下手の攻撃の目的は相手の石をとること。上手の攻撃の目的は他のところで利益を得ること」「上手は封鎖を目指し、下手はすぐに切断しようとする」「上手はカケツギの急所を探し、下手は切断する」「下手は攻めを、上手は守りを重視する」「下手は取りたい石を押す、上手は攻めたい石の反対側を押す」「下手はアタリで相手の石を取ろうとし、上手は封鎖した後の死活の読みで石を取る」「下手は取って生きようとし、上手は捨てて生きようとする」「上手は辺に打ってから戦い、下手はすぐに戦う」
日本の囲碁の本もよく読むのですが、日本の解説書はわかりにくい。というのも日本の解説書は一つの物語のように解説していくので、ポイントが多岐にわたります。その結果、読んだときにはなるほどと思うのですが実践がなかなか難しい。日本の定石や手筋の解説ならいいのですが、対局解説では「この局面では黒を持ちたい」「気持ちがいい」といった情緒的表現が多く、一般則が導けない(すなわち、他の局面で応用ができない)のです。
その点、このシリーズは論理的、明快です。このシリーズで学んだことを意識しながらネット対局で打ち、少しでも強くなりたいものです。
天の川小さくあれど志(こころざし) (矢島渚男)
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