5年前の闇営業を理由にした謹慎処分 時効は刑事裁判しかないのね
吉本興業が「雨上がり決死隊」の宮迫博之や「ロンドンブーツ1号2号」の田村亮ら11人を当面の間、謹慎処分にすると発表したことを、今朝の朝日新聞が報じていました。
吉本興業からすれば、彼らの闇営業行為は、マネージメントをしている事務所に収入が入ってこなくなる許せない行為なので、謹慎させるのもいくらかは理解できます。しかし、5年前のことを理由にというのはちょっと違和感を覚えます。
刑事事件では「時効」があります。刑事訴訟法において、刑罰の重さに応じて時効の期間(年数)が規定されています。もっとも、殺人罪などの重大な犯罪は、現在は時効の規定がなくなりましたが。
それに比べると民事で罰する場合、例えば損害賠償請求では時効の規定があります。いわゆる消滅時効で債権(損害賠償請求権)が消滅します。しかし今回のケースは、損害賠償請求というよりも雇用契約の問題なのでしょうね。契約自由の原則が適用され、闇営業(というより反社会的集団に対して営業行為をしたこと)によって吉本興業は損害を被ったから、雇われている芸人も相応の処分をしたということなんでしょう。
私が昔、法律関係の仕事をしていたとき、時効の規定がないことでびっくりしたケースがあります。それは行政処分です。いわゆる許可取消や事業停止命令については時効がありません。産業廃棄物処理業者が数十年前に不法投棄をしていたことがばれたら、許可取消となってしまうわけです。そんなバカなと思うでしょうが、法律上は認められます。それだけ行政の権力は強いってことです。
まあ、現実問題として行政機関は警察ではありませんから捜査権はありません。そうなると遠い過去の不法行為を立証することは相当困難で、実際に行政処分を行うことはほとんどないでしょう。そう考えると、根っからの悪徳業者にとっては、行政処分に時効がないとしても痛くもかゆくもないでしょうけど。
ところで吉本興業。昔、超売れっ子だった島田紳助を芸能界から追放したぐらいですから、こういうことには非常に厳しい会社ですね。そして今回、その吉本興業に5年前の闇営業を、この時期に垂れ込んだ人がいるわけです。恐ろしい人がいるんですね。闇営業をして1週間後であれば若気の至りですんでいたことが、今売れっ子になって超有名になってから暴露して足を引っ張る。
昔は噂話でシラを切ることもできたでしょうが、スマホに写メの現代ではプライバシーも何もあったもんじゃない。これらの記録に残れば半永久的に消えることはありません。嫌な世の中になったもんです。
泣き顔を鏡に映し確かめる いつもきれいでいろと言われて (俵万智)
コメント