トランプ大統領とアメリカ議会の仲 日本の政治と同一視してない?
トランプ大統領が日本にやってきます。大相撲の観戦をするなど世間を賑わせそうです。
今は中国との貿易戦争がテレビで取り上げられます。先日はこの影響でかつてのトランプの支持者がどんどん離れているとの報道がありました。ふーん、ひねくれ者の私には眉唾物(まゆつばもの)です。
確かに貿易は、得する人がいれば損をする人もいます。価値を交換することが互いの富を増やすというのは合理的に考えれば間違いありません。でも日本はどうですか? TPPの交渉のとき、日本政府が貿易推進の立場であるのに農家はこぞって反対。政府・自民党の最大の支持者である農業経営者が反対しているのに安倍政権は強固。言いたいことがわかりますよね。
「中間選挙後のトランプ政権の行方」(中林美恵子)を読みました。半年前の講演記録です。この講演では鋭い指摘が多々あります。
トランプ大統領の支持率は就任当初は44%。さらに減るなどの変動はありますが今でも同じぐらいです。一方不支持率は55%前後で、一貫して不支持が上回っています。ではなぜ大統領選挙、そして中間選挙(上院)で共和党が勝利したのか。それはトランプの不支持の有権者層は、投票所に足を運ばないからです。
次に中間選挙の解説も面白かった。共和党は上院を制し、下院では民主党が勝利しました。しかしかつて私が指摘したとおり、大統領側の政党は下院の議席を減らすのが普通です。そして何よりアメリカ議会は国民に不人気で、議会の支持率は20%を下回り、不支持率は70%を超えています。知ってましたか? 議員内閣制の日本の構造と大統領制は全く違うのです。
そして宗教の分析も面白かった。アメリカでは全投票者の半数がプロテスタント。そのうちの過半数が共和党に投票しています。ユダヤ教徒は全投票者の2%で、その8割は民主党に投票しています。
おかしいとは思いませんか? トランプ大統領の反イラン政策やエルサレムへの首都移転計画について、ユダヤ人を支持層としているかのような報道があるのに。実は、これらの施策はユダヤ教徒のためではなく、プロテスタントの中の福音派のためなのです。アメリカでは「有権者の4人に1人は福音派」と言われているそうです。福音派の75%は共和党に投票しているというから驚きです。
そして最も驚くべきことが。各社の世論調査をまとめると、トランプ大統領になってからよい方向に向かっていると答える人が徐々に増え、悪い方向に向かっていると答える人が減っている事実。オバマ政権が放置してきた中国問題に対してトランプ大統領がはっきり非難し、対策をとっていることが評価されているからです。
私たちはどの国の政治も同じ構造だと、知らず知らずのうちに思い込んでいるようです。自分だけの色眼鏡を通してアメリカの政治をわかったつもりになっているようです。
違う色の眼鏡、あるいは違う角度からの景色を眺めることがとても大事ですよね。
「泣くなよ」と言われて気づく今我が泣いているのは「わたし」のためと(俵万智)
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