騎士団長殺しを読む
今日は仕事は休み。朝9時に近くの郵便局で関係書類の発送を済ませ、自宅に戻ってから「騎士団長殺し(第2部)」(村上春樹)を読みました。
第1部を読んだのはもう半年ほど前。鹿児島市立図書館で借りたのですが、騎士団長が現れるときの鈴の音の描写は背筋がぞくりと寒くなるほど。第2部を早く読みたかったのですが、図書館の書棚にない日が続いていました。昨日、仕事帰りによるとようやく見つけました。ラッキー!
今日は午後から雨が音を立てずにテラスを濡らす寒い一日。ストーブを焚いて窓辺の灯で本を読み始めたのですが、午後3時ぐらいには暗くなり、読書灯を点灯して読み続けました。1時間ごとにCDを入れ替えて音楽を聴き、1時間ごとにコーヒーや紅茶などの暖かい飲み物のおかわりをし、1時間ごとにトイレで用を足し、午後6時にようやく読み終えました。間に昼食を挟んだとは言え、8時間ほどかかりました。
穴、夢、メタファー、邪悪な存在、美少女、簡単にできちゃうセックスなど、村上春樹ワールド全開ってことかしら。「ねじまき鳥クロニクル」を連想させる構成でしたが、パラレルワールドの展開が多い村上作品からすると一本調子のような感じを受けました。謎に満ちあふれた作品が多い中、作者自身がここまで丁寧に解説するというのも珍しいかも。
もっとも顔のない渡し守の男が誰なのか、という謎が残ります。「いつかおまえにわたしの肖像を描いてもらうことになるかもしれない」と語る以上、免色ではないですよね。彼の肖像画をすでに描いていますから。主人公が会わない(顔を知らない)男性で残っているのは、まりえの父か妻の不倫相手ですが、主人公を助ける理由がわからない。となると誰?
私の直感はもうひとりの免色。彼は完璧な存在と邪悪な存在が併存している、そして彼の肖像画は描かれているが抽象画。彼の心の中の邪悪な存在が消えたときこそ、肖像画が本来の肖像画として描かれる。そんなことを考えてしまいました。
驚くだらう 自分が自身の肉体を離れているのに気づくその時(浜田蝶二郎)
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